朝の散歩道で、奥さんとかふぅの後ろ姿を眺めながら歩いていた。
その何気ない光景が、どうしてこんなにも心に残ったのか。
帰ってから考えてみても、うまく言葉にはできなかった。
ただ一つだけ思ったことがある。
こんな朝を、これからもずっと見ていたい。
少しだけ、ゆっくり始まった朝
その日の朝は、いつもより少しだけゆっくりだった。
奥さんと一緒に、かふぅの散歩へ出掛ける。
普段なら僕は休日に散歩へ行くことが多い。
でも、この日は奥さんがいつも歩いている道を一緒に歩いた。
「こっちにも公園があるんだよ。」
そう教えてもらいながら歩く道は、見慣れた景色なのにどこか新鮮だった。
いつの間にか、大きくなったね
歩いているうちに、ふと気付いた。
思っていたよりも、ずっと長い距離を歩いている。
そういえば、かふぅが家に来たばかりの頃は、こんな距離は歩けなかった。
少し歩いては抱っこして。
疲れて眠ってしまうこともあった。
それが今では、軽やかに歩き、時々小走りになって、楽しそうに前へ進んでいく。
「いつの間にか、こんなに歩けるようになったんだね。」
何気ない成長だけれど、そのことがとても嬉しかった。
僕の知らなかった朝
奥さんが案内してくれた公園へ着くと、かふぅは急に嬉しそうに走り始めた。
芝生の上を駆け回る姿。
それを笑顔で見守る奥さん。
その光景を少し後ろから眺めながら、僕は立ち止まっていた。

その瞬間、不思議なくらい自然に思った。
「いつも、こんな風にかふぅを笑顔にしてくれてありがとう。」
毎日仕事へ行っている間も、
奥さんはこうして散歩へ連れて行ってくれていた。
こうして一緒に遊んでくれていた。
僕が知らなかっただけで、
かふぅには、こんな幸せな時間が毎日あったんだ。
そう思うと、胸がいっぱいになった。
守りたいものは、案外すぐそばにある
特別な旅行じゃなくてもいい。
豪華な休日じゃなくてもいい。
こうして、家族が笑って歩いている。
ただそれだけで十分なんだと思った。
もし願いがひとつ叶うなら、
こんな朝を、一日でも、一瞬でも長く見ていられる人生であってほしい。
そんなことを、本気で願った。
今日も、明日も、その先も
休日は、遠くへ出掛けた日だけが思い出になるわけじゃない。
いつもの散歩道。
初めて歩いた公園。
楽しそうに走るかふぅ。
それを見て笑う奥さん。
そして、その後ろを歩く僕。
誰かに話せば、
「普通の朝だね。」
と言われるかもしれない。
でも僕にとっては、
何年経っても忘れたくない朝になった。
きっと幸せというものは、
こういう何気ない景色の中にあるんだと思う。
またひとつ、
かふぅとの大切な思い出が増えた瞬間だった。
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