MENU

【犬との休日】ずっと見せたかった景色を、ようやく一緒に見られた夏の日

目次

7月15日、朝8時。

本当は7時半に出発する予定だったのに、僕は出発の直前になって車を洗い始めてしまった。

数日前の釣行で潮まみれになっていた車がどうしても気になったからだ。

軽く怒られてしまったけれど、僕には少しだけ理由があった。

西伊豆には、僕が何度も足を運んできた大好きな景色がある。海岸線を走る時間も、窓から見える山々も、ジオサイトの壮大な景色も、そのどれもを奥さんとかふぅに見せてあげたかった。

どうせなら、綺麗な車で。綺麗な窓から。

そんな、ちょっとした僕のわがままだった。

今回の旅の目的は、お義父さんの顔を見に行くこと。

仕事の関係で7月いっぱい戸田に滞在しているお義父さんを迎えに行き、みんなで西伊豆を巡る小旅行に出かけた。

最初の予定は、堂ヶ島でランチをすることだった。

ところが、まさかの臨時休業。

犬連れで店内に入れるお店を探して何件か問い合わせてみたものの、なかなか見つからない。インターネットで「犬も一緒に入れる」と書いてあったお店に行ってみると、「犬は入れません」と言われてしまった。

楽しみにしていた奥さんが少しずつ落ち込んでいくのが伝わってきて、なんとか気分を晴らしてあげたいと思っていた。

結局、近くの施設で軽く食事を済ませ、セブンイレブンでアイスや焼きそばを買ってひと息ついた。

奥さんが焼きそばを美味しそうに食べている姿を見て、僕は少しだけ安心したことを覚えている。

その後に訪れた土肥金山。

外は36度の猛暑日だったけれど、坑道の中はひんやりと涼しく、暑さで少し疲れていた僕たちを優しく迎えてくれた。

カートに乗ったかふぅは、いつも通り楽しそう。

奥さんも、いつの間にか笑顔になっていた。

その笑顔を見て、僕まで嬉しくなる。

最近、僕は自分が何をしている時に幸せを感じるのか、少しずつ分かってきた気がする。

どうやら、自分が楽しいことよりも、大切な人たちが楽しそうにしている姿を見ることの方が、ずっと嬉しいらしい。

宿は、大江戸温泉のワンワンリゾート西伊豆。

チェックインを済ませたあと、お義父さんは部屋でゆっくり休み、僕たちは目の前の砂浜へ向かった。

海に足を浸けたり、写真を撮ったり、かふぅと一緒に散歩をしたり。

かふぅは、まるで「海だ!」と言わんばかりにはしゃぎ回り、奥さんはそんな姿を見て笑っていた。

僕の髪型や眼鏡が風で崩れてしまって、みんなで大笑いしたことも良い思い出だ。

こういう何気ない時間が、きっと一番贅沢なんだと思う。

夕食は蟹の食べ放題付きのビュッフェ。

お義父さんが5杯、僕たちも合わせて合計8.5杯の蟹を平らげた。

かふぅは犬用のハンバーガーを注文したものの、お肉だけを食べてウトウト。

「今日はたくさん遊んだもんね。」

そんなことを話しながら、家族みんながお腹いっぱいになって、その日は早めに眠りについた。

翌朝4時。

僕はお義父さんと一緒に釣りへ出かけた。

慣れないルアー釣りを一緒に楽しんでもらったものの、ルアーがテトラポットに引っ掛かってしまい、お義父さんが回収してくれようとして足を擦りむいてしまった。

宿に戻ると、奥さんから「危ないところに連れて行かないで」と怒られてしまい、少し険悪な空気に。

お義父さんの優しさも、奥さんの心配する気持ちも、どちらも分かるからこそ、僕は何も言えなかった。

旅行というのは、不思議なものだ。

上手くいくことばかりではない。

予定通りに進まないこともあるし、時には少しだけ気まずい空気になることだってある。

でも、振り返ってみると、そういう出来事まで含めて思い出になる。

そして、この旅で一番楽しみにしていた場所へ向かった。

御浜岬。

僕は、この景色をずっと奥さんに見せたいと思っていた。

透き通った海の色。

岬から見渡す壮大な景色。

何度も「本当に綺麗なんだよ」と話してきた場所だった。

だから、奥さんがその景色を見ている姿を見た時、本当に嬉しかった。

少し前まで険悪だったことなんて、もうどうでもよくなるくらい。

僕が上機嫌に話していると、「朝は機嫌悪かったのに、急にどうしたの?」と笑われてしまったけれど、少し照れながら、

「ずっと見せたいと思っていた景色に、ようやく連れてこられたから。」

と伝えた。

奥さんも少しだけ照れくさそうに笑っていた。

そして、その横では、空気なんてまったく読まずに、かふぅが楽しそうに歩き回っている。

そんな、いつもの僕たちらしい時間だった。

その後は伊豆パノラマパークへ。

ゴンドラに乗り、山頂から伊豆の山々と海を見渡す。

道中、みんなが車の中で気持ち良さそうに眠っている姿を見ながら運転していた時間も、今思えばとても幸せだった。

安心して眠ってくれていること。

それだけで、なんだか胸が温かくなる。

若い頃の僕は、「どこへ行ったか」が大切だった気がする。

でも今は、「誰と、どんな景色を見たか」の方が、ずっと大切になった。

行きたかったお店に入れなかったことも、少し険悪になった朝のことも、みんなで笑い合った海辺の時間も、帰りの車で聞こえてきた寝息も、全部ひっくるめて、この夏の大切な思い出だ。

ずっと見せたかった景色を、大切な人と一緒に見ることができた二日間。

また一つ、家族の景色が増えた。

かふぅのしっぽと一緒に、今日も良い休日でした。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次