先日の僕の誕生日。
その日は、休職の最終日でもありました。
適応障害と診断されてから、およそ1ヶ月。
仕事から離れて、ゆっくりと過ごす時間をもらっていました。
そして、その1ヶ月の最後の日。
奥さんが、
「今日は、好きなことしようよ」
と誘ってくれました。
どこに行こうかと考えてくれて、奥さんが見つけてくれたのが深大寺のお蕎麦屋さん。
そのあと、生田緑地にも行こうと提案してくれました。
振り返ってみると、その日の予定には、僕の好きなものが全部詰まっていました。
自然が好き。
和食が好き。
奥さんと過ごす時間が好き。
そして、そこにかふぅが一緒にいられる時間が、また好き。
そんな僕の「好き」を、奥さんはちゃんと知っていてくれたんだなと思いました。
誕生日のお昼は、深大寺のお蕎麦

まず向かったのは、深大寺。
深大寺といえば、やっぱりお蕎麦。
緑に囲まれた参道を歩いていると、それだけで少し日常から離れたような気持ちになります。
お蕎麦を食べることももちろん楽しみだったけれど、僕にとっては、奥さんとかふぅと一緒にこういう場所を歩けること自体が嬉しかった。
特別なレストランじゃなくてもいい。
遠くまで旅行に行かなくてもいい。
好きな人と、好きなものを食べて、好きな場所を歩く。
それだけで、十分に特別な一日になるんだなと思いました。
そして何より嬉しかったのは、誕生日だからと豪華な何かを用意してくれたことではなく、
「今日はあなたの好きなことをしよう」
と考えてくれたことでした。
この1ヶ月、奥さんが支えてくれたこと
この1ヶ月を振り返ると、僕自身のことで精一杯だった時間もありました。
仕事を休んで、これからのことを考えたり、自分自身と向き合ったり。
そんな中でも、奥さんはいつにも増して笑顔で僕を支えてくれていました。
そして、その間には、かふぅの熱中症もありました。
夜間の緊急外来に連れて行くことになった夜は、本当に心配でした。
小さな身体で苦しそうにしているかふぅを見ていると、ただ元気になってほしいと願うことしかできませんでした。
奥さんも、きっと気が気ではなかったと思います。
それでも、かふぅの看病は2人ですることができました。
僕が休んでいたからこそ、奥さんに全部を任せきりにせず、一緒にかふぅを見ていられた。
それは、この1ヶ月の中で良かったことの一つだったと思います。
そして奥さんは、かふぅのことを心配しながら、僕のこともずっと気にかけてくれていたんだと思います。
今振り返ると、本当にありがたかった。
久しぶりの散歩で、はしゃぐかふぅ

深大寺をあとにして、次に向かったのは生田緑地。
ここで、僕にとってもう一つ嬉しいことがありました。
かふぅが、久しぶりに思いきり散歩できたこと。
少し前に熱中症になってから、しばらく散歩を控えていました。
だから、この日は久しぶりのお散歩です。
外に出たかふぅは、そんな心配を吹き飛ばすように、元気いっぱい。
歩いて。
匂いを嗅いで。
あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
久しぶりの散歩が嬉しくて仕方ないように、はしゃいでいました。
そんなかふぅを見ていると、奥さんも僕も自然と笑顔になりました。
「元気になって、本当に良かったね」
この日は、何度そう思ったか分かりません。
少し前まで心配で仕方なかった小さな家族が、また楽しそうに歩いている。
それだけで、十分幸せでした。
夕方の森で聞いた、ヒグラシの声

この日のことで、もう一つ強く印象に残っていることがあります。
生田緑地で聞いた、ヒグラシの声です。
夕方の森の中。
少しずつ日が傾いて、木々の間を風が抜けていく。
そこに、
「カナカナカナ……」
とヒグラシの声が響いていました。
その声を聞いていると、不思議なくらい心が落ち着いていきました。
夏は、まだまだこれから。
暑い日も、まだ続いていく。
それなのに、ヒグラシの声には少しだけ夏の終わりを感じさせるものがありました。
まだ夏の途中なのに、ほんの少しだけ先取りした晩夏の音。
それを、奥さんとかふぅと一緒に聞いていました。
なんだか、とても贅沢な時間でした。
仕事のことも。
これからのことも。
そのときだけは、全部忘れていました。
ただ、
「今、ここにいるのが幸せだな」
と思いました。
夜は、僕の好きなお寿司と獺祭
そして夜。
家に帰って、僕の好きなお寿司を奥さんと一緒に食べました。
誕生日のお酒は、獺祭の二割三分。
好きなお寿司を食べて、好きなお酒を飲んで。
隣には奥さんがいて、近くにはかふぅがいる。
昼間は自然の中を歩いて、夜は家でゆっくり過ごす。
一日を振り返ってみると、本当に僕の好きなものばかりでした。
でも、この日が特別だった理由は、お蕎麦でも、お寿司でも、獺祭でもありません。
奥さんが、僕のことを考えて、この一日を作ってくれたこと。
それが一番嬉しかったんだと思います。
この人と結婚できて、本当に良かった
適応障害と診断されてからの1ヶ月。
いろいろなことを考えました。
これからの仕事のこと。
自分自身のこと。
これからどんなふうに生きていきたいのか。
そんなことを考えている中で、改めて思ったことがあります。
僕は、この人と結婚できて本当に良かった。
奥さんになってくれて、本当に良かった。
僕が辛いときに支えてくれること。
僕の好きなものを覚えていてくれること。
僕が少し元気をなくしているときも、笑顔でいてくれること。
そして、かふぅのことも一緒に大切にしてくれること。
普段は当たり前のように思っていることも、本当は当たり前じゃない。
この1ヶ月、奥さんには本当に感謝しています。
ありがとう。
本当にありがとう。
最高の休日は、特別な場所じゃなくてもいい
この日のことを振り返っていて、ふと思いました。
「最高の休日」って、どこか遠くへ旅行することでも、豪華な食事をすることでもないのかもしれません。
好きな人と一緒にいて。
好きなものを食べて。
好きな場所を歩いて。
大切な家族が元気でいてくれる。
そして、ふと立ち止まったときに、
「幸せだな」
と思える。
それだけで、十分なのかもしれません。
深大寺のお蕎麦。
生田緑地の緑。
久しぶりの散歩ではしゃぐかふぅ。
夕方のヒグラシ。
家で食べたお寿司。
獺祭の二割三分。
そして、隣で笑っている奥さん。
僕の42歳の誕生日は、そんな一日でした。
休職していた1ヶ月の最後の日。
そして、これからまた日常へ戻っていく、その前の日。
奥さんが僕にくれたのは、誕生日のお祝いだけじゃなかったのだと思います。
「大丈夫だよ」
「好きなことしていいんだよ」
「一緒にいるよ」
そんな気持ちを、一日の全部で伝えてくれていたような気がします。
これからまた、仕事の日々が始まります。
きっと疲れる日もあるでしょう。
余裕がなくなる日もあると思います。
それでも、そんな毎日の中に、この日のことを覚えておきたい。
夕方の森で聞いた、ヒグラシの声。
楽しそうに歩く、かふぅのしっぽ。
そして、隣で笑っている奥さん。
僕にとっては、それだけで十分。
そんな一日を過ごせたことが、最高の誕生日でした。
これからも、こんな何気ない幸せを、ひとつずつ残していけたらと思います。
しっぽと一緒に過ごす、僕たちの休日を。


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